相続手続きの進め方
遺産相続は人生の中で何度も経験することではないので、何から手を付ければ良いのか困惑される方も多いかと存じます。ここでは相続が発生した際の一連の流れについてご説明します。
(1)遺言書の有無を確認する
相続手続きは原則遺言書に記載された内容が優先されます。遺言書が残されていれば、その内容に沿って遺産分割を進めることになります。まずは遺言書が残されていないか確認しましょう。
(2)相続人の確定
相続人が誰になるかを確定するために、被相続人が生まれてから死亡するまでのすべての戸籍を各自治体から取得します。
多くの人は引っ越しや結婚などの理由で転籍しているため、戸籍は複数存在します。被相続人が生前籍を置いていたすべての自治体から戸籍を取り寄せる必要があります。役所が遠方にあり窓口へ直接出向くことが難しければ、郵送で取り寄せることも可能です。ただしやり取りに時間がかかりますので早めに手続きを開始しましょう。
相続人を確定させたら、次に相続関係説明図を作成します。この相続関係説明図と取得した戸籍謄本は、相続財産の名義を変更する際にも必要となります。大切に保管しましょう。
(3)相続財産の調査
被相続人の相続財産を調査します。相続財産は被相続人が所有していたすべての財産が対象です。現金や不動産などはもちろん、借金や住宅ローンなどの負債も含まれますので、漏れのないように調査します。
調査した内容をもとに、財産目録を作成します。これは調査した相続財産を一覧にまとめたものです。
(4)相続方法の決定
相続の方法は単純承認、相続放棄、限定承認の三つがあります。相続人はどのように相続するかをこの三つの中から選択することができます。
相続放棄や限定承認を選択するのであれば、家庭裁判所にてその旨の申述を行う必要があります。これには期限が設けられており、被相続人が亡くなったことを知った日から3か月以内に申述しなければなりません。
この期限を過ぎた場合、プラス財産もマイナス財産もすべて引き継ぐ単純承認をしたものとみなされるため、注意が必要です。
(5)遺産分割協議を行う
相続人全員で遺産分割協議を行います。これにより相続財産をどのように分割するかを協議し、決定した内容を取りまとめ遺産分割協議書を作成します。
なお、遺産分割協議は相続人全員が参加しなければなりません。参加者が1人でも欠けてしまうと、協議は無効となりますので注意しましょう。
(6)相続財産の名義変更を行う
(7)相続税申告・納税をする
相続税の基礎控除額を超える財産を相続した場合、その相続人は相続税申告を行う必要があります。相続の開始を知った日の翌日から10か月以内に、被相続人の住所地を所轄する税務署に申告し、同じ期間内に納税を行わなければなりません。
期限を過ぎるとペナルティが課されますので、必ず期限内に手続きを完了させましょう。
相続人の確定から相続財産の名義変更まで、すべての手続きが完了するにはスムーズに進んだとしても少なくとも3か月はかかると言われています。
相続人に認知症や未成年の方がいたり、遺産分割協議が難航してしまうとさらに多くの時間を要する可能性があります。期限が設けられている手続きもありますので、早めに手続きを進めることが大切です。